製作
2021.11.14
手縫いで革靴を作る理由
私が手縫いで靴をつくる理由は機能面、それに加え文化的な背景などがあります。
まず機能面についての違い。
手縫い靴は機械縫いの靴と違って「手加減」が効くところです。機械縫いですとあらかじめ設定した同じテンションで全て縫い上げます。
それに比べ、手縫いですと靴のかえりと呼ばれる屈曲部などは曲がりやすいようにテンションを変えてみたり、縫うピッチを変えたりもできます。
勿論これらは職人の腕の良し悪しにも関係してきますが、こうする事によりどうしても堅いイメージの革靴ですが、履き始めから足馴染みが良く、軽快な履き心地になります。
文化的背景について。
オーダー靴、手縫い靴はヨーロッパだけのイメージがありますが、そうではなく80年代くらいまでは日本でも手縫い靴は多く作られていて、職人もわりといたんです。
平成に入り大量生産、大量消費の波にのまれ手製靴はずいぶんと数を減らしました。
「モノづくり日本」のイメージは年々薄れていく一方で、伝統文化への憧れはあるものの「モノ」自体が日本で作られていないのが正直なところだと私は思っております。
こういった今の時代背景を憂い、AIにとって変わられるようなデジタルなモノづくりではなく、人の手によってでしか出来ないアナログな手縫いによる靴を作っていきたいと考えております。
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